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【PEOPLES】#3
藍染をもっと広めたい! 失敗を恐れず挑戦する染物工場の四代目

<small>【PEOPLES】#3</small><br/>藍染をもっと広めたい! 失敗を恐れず挑戦する染物工場の四代目<br>
ピープル

2020.11.13

水野染工場

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人の顔が見える店は、通いたくなる。名物社長が営む店ならなおさらだ。毎回OKUROJIの”人”にフォーカスを当て、生い立ちやこの仕事を選んだきっかけ、お店のことなど、その人の魅力に迫ります。第三回は、『水野染工場』の水野弘敏さん。

Photo: Mizuho Takamura  Text: Akane Imoto

物心ついた時から染めることで遊んでいた。

幼い頃は自宅兼工場だったから、物心ついた時からずっと遊びで染めてたんですよね。兄弟構成は姉が二人いる末っ子長男。姉が二人もいたから、今も女性スタッフと仕事しやすいのはあります。こう見えて甘え上手だからね(笑)。この道に進んだのも、染めというものが身近過ぎて、継ぐこと以外の選択肢は浮かばなかった。

物心ついた時から染めることで遊んでいた。

大学卒業してからは、京都にある別の印染工場で修業して、そこから北海道に戻って数年後に家業の工場を継ぎました。年々業者が減っていく染物業界に危機感を感じていたので、京都でいろんな情報を得たことで、「新しいことにチャレンジしていかないと」って強く思うようになりました。
会社の体制も、自分が会社に入った頃は職人の技術を「見て盗め」が基本だったけど、今はそれをしていると職人が育たないから、新人さんにはきちんと口頭で伝えて教えるようにしています。

ヒット商品の動物マスクは現在全63種。水野さんがつけているのはうさぎ柄。1,320円(税込)

このマスクもスタッフのアイディアなんですよ。「(コロナ禍で)社長は外に出ることが多いから」ってスタッフが白いマスクに動物の鼻を刺繍してくれたのが始まり。量産化は大変だったけど、これが今大ヒット中。最終的に大型機械で作れるようになったので、日比谷OKUROJI店にもたくさんの種類がそろっています。

「失敗は成功のもと」がモットー。

そもそも私の父親の口癖が「変えなさい」だったので、どんどん変えて、失敗もしていかないと成功はないという感覚があります。曾祖父の代から始まった家業も始めは着物を染める紺屋だったのが、どんどん旗や大漁旗も扱うようになっていったので。

「失敗は成功のもと」がモットー。 工場のオリジナル半纏。裾の模様は角字という書体で「水野染工場」と入っている

とはいえ、失敗は山ほどあります。一番「やばいぞ」となったのは、浅草に半纏などを売るお祭り用品店を出した時。あえて激戦地に出店したんだけど、全く売れなくて。でも、そこで手ぬぐい店に方向転換したんですよ。いまの手ぬぐいのラインナップは、その失敗のおかげですよ。

自社のN.Y.への進出用に社長がデザイン監修したジャパンブルー(藍染)の手ぬぐい
注染や捺染といったさまざまな技法で作られる手ぬぐいのデザインも今や700種類! 1,320円~(税込)

ちなみに一般的な手ぬぐいの長さって90cmなんですが、うちは現代人の身長に合わせて100cmで作ってます。糸が細い高級糸を使っているから吸水性と手触りは抜群。お風呂上りに髪のタオルドライ時に使うのもおすすめです。意外なところだと、夏にマウスパット代わりに使うのも、べたつく手首の汗を吸い取ってくれるからいいですよ。

同じ歴史を歩んできた日比谷OKUROJIでも藍染体験を

日比谷OKUROJIへの出店は、ここが1910年に出来て、うちの創業が1907年だから、ちょうど同じ時期だなと思って縁を感じて決めました。手ぬぐいや藍染のパーカーなど商品をお手にとっていただけるほか、染物のフルオーダーも受け付けています。

同じ歴史を歩んできた日比谷OKUROJIでも藍染体験を 藍染ワークショップは11月中旬からスタート予定。詳しくは店舗へお問合せを

また予約制で藍染ワークショップもスタートする予定です。藍染の最大のポイントは失敗がないところ。藍の染料につけた直後はグリーンなんですが、洗って水の中の酸素に触れることで藍色に変化していきます。その変化の過程もおもしろいです。

ここの店頭に立ってうれしかったのは、通りかがる北海道の人が立ち寄って声をかけてくれること。旭川っていうと、みんな「いいところですね」って言ってくれるから、ついでに僕もいい人のイメージがついて得してます(笑)。
あと、創業した曾祖父は旭川に来る前に富山で染屋をやっていた人なので、その頃(明治40年)の富山についても調べているところです。もしもその時代の富山をご存じの方がいらっしゃればぜひ声をかけていただきたいですね。

今、自分自身は東京と北海道で半月ずつ滞在する2拠点体制。もう仕事が趣味みたいなもの(笑)。来年は北海道に印染パークもオープン予定で、「藍染を通して日本の文化を広く伝えて、日本を元気にするぞ!」って思いで今頑張ってます。

Profile

水野弘敏(みずの・ひろとし)さん

北海道旭川出身。大学卒業後、修行を経て水野染工場に入社。1997年に代表取締役社長に就任。都内への出店のほか海外の展示会にも出店するなど、印染業界の発展に尽力している。好きな言葉は「青は藍より出でて藍より青し」。好きな芸能人は米津玄師。日比谷OKUROJIでのおすすめは、早く歩けるようになったPantherのスニーカーと、趣味のスキー用に買ったGLEN CLYDE SOCKCLUB TOKYOの靴下。

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