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【PEOPLE】#9
トラッドスタイルで交流を。世代をつなぐ店を目指すメンズブランド店長

<small>【PEOPLE】#9</small><br/>トラッドスタイルで交流を。世代をつなぐ店を目指すメンズブランド店長<br>
ピープル

2021.02.11

VAN SHOP HIBIYA

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人の顔が見える店は、通いたくなる。名物店長がいる店ならなおさらだ。毎回OKUROJIの”人”にフォーカスを当て、生い立ちやこの仕事を選んだきっかけ、お店のことなど、その人の魅力に迫ります。第9回は、『VAN SHOP HIBIYA』の車田 博さん。

 

Photo:Mizuho Takamura Text:Akane Imoto

思い入れのある『スタジャン』が入社のあと押し

思い入れのある『スタジャン』が入社のあと押し

『VAN』には、まだ入社して1年半程なんです。前職は銀座にある百貨店のDCブランドで、17年ほど働いていました。ここを選んだのは、アパレル業界でよく耳にする『VAN』で「トラッドファッションを一度やってみたい!」と思ったから。『VAN』は1960年代にアメリカントラッドスタイルで、若者に一大ブームを巻き起こしたブランドです。創業者の石津謙介は今のファッションの礎を築いたと言われ、『スタジャン』や『トレーナー』など数々の用語を世に送り出したことで知られています。うちの会社は昔から憧れて入社した人が多いんですが、僕はこの業界に入ってから知ったので割と珍しいタイプです(笑)

 

服を好きになったきっかけは中学3年の頃、地元近くの有名な古着店で見かけたスタジアムジャンパー(スタジャン)でした。それがめちゃくちゃかっこよくて! 福島の郡山に今もある『JOB314』ってお店です。高校生になって、バイトでお金を貯めてその店に行くと、憧れた商品がまだ残っていたんです。すぐに購入して、うれしかったので足早に店を去ったら、万引きと間違われて店員さんに追いかけられたのもいい思い出です。

 

そんなこともありスタジャンは僕の中で特別なアイテムなんですが、入社面接を受けるときに『VAN』の定番アイテムのスタジャンを見かけて、運命を感じたのが入社の決め手になりました。

ワッペンまでシックなカラーで統一された今季のプレミアムスタジアムジャンパー83,600円。定番商品だが、年毎に新たなデザインが発表される。

楽しみは大先輩から教わる貴重なストーリー

来店されるお客様は、1960年頃のブームど真ん中だった世代が中心ですね。若くて50代、中には80代のお客様もいらっしゃいます。わざわざここまで足を運んでくださる、おしゃれ感度の高い方が多いです。

楽しみは大先輩から教わる貴重なストーリー

年上のお客様からはブーム当時のお話を聞けるので、とても勉強になります。かつて銀座のみゆき通りにあった『VAN』1号店や、当時流行したアイビー・ルック(アメリカントラッドスタイル)を取り入れた若者『みゆき族』のお話など、そんな歴史を聞けるのも『VAN』ならではですね。自分でも勉強はしていますが、知らない話が多いので楽しいです。

今季のおすすめはプレミアムMA-1 42,900円。ミリタリーなワッペンにヴィンテージ加工を施すことで、より大人に似合う風合いに仕上げている。

あと、たまに若い女性で『スウィングトップ』を見に来る方もいらっしゃいます。サイズはメンズのみですが、あえて大きめを買ってコーディネートされてます。レディース自体は、ソックスなどアイテムを替えて年に数点出ます。夏にTシャツが出ることもあって、以前来店された年配のご夫婦が昔のTシャツをおそろいで着用されていてかっこよかったです。

バックにVANのロゴマークが入った定番のスウィングトップ24,200円。型は同じだが、特殊加工により着用10年後の色褪せと風合いを再現したアイテムも。

大人なら1枚は持っておきたいネイビーブレザー

日比谷店の売りはオーダージャケット。ブームを経験した世代の方だと当時は買えなくて、その“憧れ”をいま手に入れられる方が多いです。もちろん『VAN』を代表するネイビーブレザーも人気。これは若かろうが年を重ねようが、1着持っていると非常に使えるアイテムです。

大人なら1枚は持っておきたいネイビーブレザー ダブルのネイビーブレザーは車田さんの私物。細身の体系をカバーできる、少しゆったりサイズでオーダーしたもの。

オーダーでは、表地、裏地、ボタンが選べます。表地の生地はオリジナル含めて50種以上。仕立ては昔からお願いしている国内工場なので、作りもしっかりしています。既製品のジャケットに+5,000円でセミオーダーもできるので、どれを選んでいいか分からない方はこちらもおすすめです。

裏地はロゴ入り生地が人気。ボタンは金ボタンのほか、水牛やクルミボタンなど約20種から選べる。オーダージャケット45,100円~。

日比谷店の限定アイテムもいろいろあります。例えば、この店のオープンに合わせて復刻した『Mr.VAN』というライン。うちは基本アメリカンスタイルなんですが、こちらは少しヨーロピアンスタイルを加えたラインです。ほかにはZippoライターなども隠れた人気商品です。

手に取っているのが復刻した『Mr.VAN』のクルーネックセーター14,300円。シャツやパンツなど全身のアイテムがスタンバイ。
OKUROJIの赤煉瓦アーチがデザインされたZippoライター24,200円。数量限定で、シリアルナンバーが入った希少アイテム。

僕としては、いつかこのお店がブーム世代の方と若い方で、世代を超えた洋服話ができる交流の場になってくれたら、と思います。接客時、地方出身の方から当時の地方での流行話を伺うことがあるんですが、どの地にも「洋服を買うならそこしかない」という憧れの名店があるんですよ。今のトレンドにつながる話もあるので、若い方が聞いても面白いんじゃないかな。その話を通して、若い方がもっとトラッドファッション親しんでくれるようになったらさらにうれしいですね。

PROFILE

車田 博(くるまだ・ひろし)さん
福島県出身。百貨店のDCブランドで店長を経験した後、2019年に株式会社ヴァンヂャケット入社。現在は『VAN SHOP HIBIYA』の店長を務める。学生時代はサッカー部に所属。お酒が飲めない代わりに、甘い物(特にチョコレート)が大好き。好きな歌手は岡村靖幸。OKUROJIで行きたいお店は『PATISSERIE PAROLA』。「店頭販売しているカヌレが気になってます!」

 

※文章内の金額は全て税込み表記です。

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